理事長ご挨拶

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NPO法人日本小児がん研究グループ(Japan Children’s Cancer Group, JCCG)が設立され、我が国の全小児がん研究グループが一体となって小児がんの克服のために活動することになりました。

日本においてがん(白血病、固形腫瘍)に罹患するこどもの数は毎年約2,500名と考えられています。その9割近いこども達はJCCG参加施設において診断、治療を受けています。JCCGは欧米のCOG(Children’s Oncology Group)やBFM(Berlin-Frankfurt-Munster)などの研究グループと協力しながら、小児がんの最先端で最良の治療成果を日本や世界各国の子ども達に届けることを使命と考える、従来の研究グループを統合したオールジャパンの研究組織です。

日本における小児がん治療研究グループの歴史は1960年代後半の東京小児がん研究グループ(TCCSG)、小児がん白血病研究グループ(CCLSG)に始まります。その後、九州山口小児がん研究グループ(KYCCSG)、地域グループを統合した小児白血病研究会(JACLS)が活動を開始し、2003年にはこれらの4つのグループの臨床研究を統一する組織「日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)(Japanese Pediatric Leukemia/Lymphoma Study Group)」が結成され、日本の小児白血病治療研究に大きな足跡を残しています。2002年以降、厚生労働省の支援のもとに、データセンターが整備され、日本小児血液・がん学会疾患登録事業の登録システムと連動し、質の高い臨床試験登録を遂行中です。一方固形がんは脳腫瘍、神経芽腫、ウイルムス腫瘍、横紋筋肉腫、ユーイング肉腫、肝腫瘍など多種多様であり、その診断、治療には様々な診療科(小児科、小児外科、耳鼻科、整形外科、泌尿器科、病理科など)が関与しています。固形がんの臨床研究グループとして、1989年肝芽腫(JPLT)、1996年ウイルムス腫瘍(JWiTS)、2000年横紋筋肉腫(JRSG)、2006年神経芽腫(JNBSG)、その後にユーイング肉腫(JESS)、脳腫瘍(JPBTC)の臨床研究グループが始まり、これらの研究グループの互助組織(固形共同機構)が立ち上げられました。これら小児白血病・小児がん克服に向けた現場の努力は乏しい資金と不足する人材のなかで、少しでも効率よく臨床試験を推進し、よりよい標準的治療法の確立を目指したものでした。

2007年に制定されたがん対策基本法に基づくがん対策推進基本計画の見直しの中で、2012年には小児がん対策に光が当てられました。また、これに基づいて国の指定による小児がん拠点病院、中央機関が制定され、連動して都道府県単位で小児がん診療体制の見直しが行われています。一方、ほぼ時期を同じくして学会においては日本小児血液学会と日本小児がん学会が統合して日本小児血液・がん学会が組織され、小児血液・がん専門医制度が発足し、専門研修施設が学会により認定されました。既に欧米では国と社会の力を結集して小児がんに関する大規模臨床研究を推進する中で新規治療法の開発が急激な勢いで進んでいます。このような歴史の流れを背景にこのたび日本全国の臨床研究を行うグループを一体化し、小児がん全体を対象とする小児がん研究グループJCCG(NPO法人)が結成されました。

今後はJCCG設立にいたるまでの多くの関係者の長年の努力とその歴史的成果を踏まえ、小児がんの克服を重視する各分野/領域の専門家とも幅広く連携しながら小児がん克服のための叡智を結集したいと考えています。どうかご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

2015年6月 JCCG 理事長 水谷 修紀(東京医科歯科大学名誉教授)

 

図1:JCCG発足までの沿革と今後の方向性の概要[PDF 186KB]