支持療法

支持療法について

小児がんの領域で行われている主な支持療法をお示しします。

支持療法委員会とは

小児がんの患者さんでは、がんそのものによる症状に加え、がんに対する検査や治療の副作用によって様々な症状を経験します。これらは身体的にも心理的にも患者さんやご家族にとって苦痛となり、がんの診療を妨げてしまいます。支持療法とは、このような苦痛を和らげる、あるいは予防することによって、円滑に治療を進めることができるようにするとともに、患者さんやそのご家族の生活の質を改善する医療です。支持療法委員会は、日本全国の小児がんの患者さんに対して、よりよい支持療法を提供することを目標に、様々な活動を行っています。

委員長挨拶

2021年から支持療法委員会の委員長を務めている、大曽根眞也と申します。
私は医師になった直後から、小児がんの診療に携わってきましたが、治療の副作用によって患者さんやご家族が苦しむ姿に、しばしば直面してきました。小児がんの診療を進めるうえで必要な採血、骨髄検査、髄液検査などの処置や検査も、患者さんにとって大きな負担になります。また、患者さんやご家族は、治療中に食事や生活が制限され、生活の質が低下します。
以前は、小児がんの治療は苦しいのが当たり前、ととらえられてきましたが、現在ではいかに苦痛を最小限にして患者さんを治療するかが重要と考えられています。よい治療とは、苦痛(副作用)が少なくて、病気によく効く治療です。化学療法、放射線治療、外科治療の改良とともに、がんそのものや治療、検査や処置による苦痛を和らげる、あるいは予防する支持療法を進化させることも、よりよい治療を行うために大切です。 支持療法委員会では、国内で行われている小児がんに対する支持療法の現状を把握するために、全国の小児がん医療に従事する医師を対象にアンケート調査を行いました。その結果、国内の支持療法は、施設間で共通しているものから異なるものまで様々であることが分かりました。各施設や地域の医師が、海外からの報告や自らの経験に基づいて、支持療法を行っているものの、どの方法が優れているのか、どの程度の生活の制限が必要なのか、よく分かっていないのが現状です。また、施設によってソフト・ハードの体制が異なり、限られた資源で努力して、支持療法を実践していることも分かりました。

質の高い支持療法を、日本のどこででも受けていただけるよう、支持療法委員会ではJCCGの医療従事者向けに支持療法の手引きを作成しています。また、よりよい支持療法を開発していくために、薬剤による副作用を詳細に評価する研究や、小児がんによる症状を正しく評価できる方法の開発に取り組んできました。今後は適切な支持療法を明らかにするための臨床研究に取り組んでいきます。また、支持療法は医師だけでなく、看護師、薬剤師、理学療法士、栄養士など、多くの職種が共同で行うものであり、より幅広い職種で力を合わせて、患者さんやご家族に貢献していきたいと考えています。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

京都府立医科大学附属病院小児科
大曽根眞也

委員一覧

遺伝性腫瘍委員会、支持療法委員会、長期フォローアップ委員会、造血細胞移植・免疫細胞治療委員会の委員一覧

臨床研究

活動報告

2023年2月 小児がん患者における感染症の予防や発熱性好中球減少症への対応に関する全国調査の結果が、International Journal of Clinical Oncology誌に掲載されました。
2023年8月 小児白血病患者における腫瘍崩壊症候群への対応に関する全国調査の結果が、日本小児血液・がん学会雑誌に掲載されました。

リンク集

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